夏と冬の日記

日記とか諸々の毒吐き。

言霊と幻痛 2/08

言葉は呪いだとか、言霊だとか、そういったものを小さい頃から人よりも信じていたように感じる。

だから、冗談でも死ねという言葉を声に出して言いたくない。

その言葉を打っている今も少し鳥肌が立つ。

6歳までほとんど人と話さない環境で育ったが故に生じた話す事への不慣れと少しの畏怖。

その行為に、かなり神経を注ぐ。

話すことは好きなはずなのに、時々出所の知れない疑心がチラつく。

 

外の世界には攻撃的な言葉が多い。

不意に顔を上げると、目も耳も塞ぎたくなるような瞬間で溢れていることに気づく。

たとえその棘が冗談でも、自分に向けられていなくても、

何故だろう無いはずの脾臓に幻痛のようなものがある。

だから応急処置的にヘッドフォンで塞ぎ、目を瞑る。

なんだか今日も痛むな。

 

家にいれば、自分と、それから自分の好きな本の言葉だけしかない。

テレビは有るけど付けない。電気すら付けない。

灯はスタンドライトだけ。昔から物置とかクローゼットの中とか暗くて落ち着く場所が好きだ。

 

家に閉じ籠っている時、世界は黙る。

電気を消している間、世界は眠っている。

そんな感覚、否ただの思い込みにより、初めて安心感を持つ。

言葉を話さないロイと昼盲のような自分だけ。

 

感傷的な訳ではなく、無感情に近い。

いや、なんだか違う。

攻撃的な有象無象から一番遠いところに逃げたい。

焦燥感?これも違う。そういった速度のあるものでもない。

ただ暖かく感じる場所にいつまでもぬくぬくと蹲っていたい。息すらもせず、化石のように。

 

など、ドロドロと考えて時間を喰う。

相変わらず暗い部屋。

とか何とか綴っていたら存在しない脾臓の痛みが引いてきた。

今日はもう何もせず、このまま眠ろうと思う。